世捨て人の暮らしぶり

自営業でコピーライターやってるよ。東京と静岡に住んでるよ。ドラムを叩くよ。面白そうな書き仕事なら世界中どこでも行くよ。Twitterは(@mush_me)、Instagramは(chappy__0927)、その他の連絡は→shotasato4@gmail.com だ!

ホームレスとバンドマンの違い

バンドマンシリーズ7回目。一応、更新する毎に出るPV新記録が書くモチベーションになっております。ありがとうございます。 

 

全くやることがなくて暇だという方は、アマゾンプライムの「ドキュメンタル」超おすすめですよ。

 

1回目

 

2回目

 

3回目

 

4回目

 

5回目

 

6回目

 

実家が消滅した僕はバンドマンでありホームレス。このツアー生活ではライブハウスだけが社会との接点なのでライブの日はバンドマン、オフの日はホームレスのつもりで過ごした。メンバーはそんな僕の境遇を面白がっていて「要は人の役に立ってるかどうかが境目だよな」とホームレスとバンドマンの違いを定義した。

 

大阪は茨木JACK LION、心斎橋KING COBRA、三国ヶ丘Fuzz、奈良NEVER LAND、和歌山OLDTIMEを回る。はじめての場所で動員こそなかったが関西の人たちはノリが良くライブは盛況でCDもそこそこに売れた。関西最終日でレーベル主催のイベントだった神戸スタークラブにはお客さんがたくさん来てくれた。

 

次の岡山CRAZYMAMA 2ndRoomまでは2日間のオフがあったため、それぞれが思い思いに過ごした。たまじさんはスケボー、マッカスはファンの子の家へ泊まりに行き、エウヴィスは車で1日中寝ていた。僕はブックオフの100円コーナーを漁り面白い小説を見つけるべく何時間も入り浸った。

 

まだまだツアーは中盤。たまじさんはサバイバルのようなこの生活を楽しんでいるようで、コインランドリーへ洗濯に行ったときは店内の電源を盗んで米を炊き、嬉しそうに食べてはじめた。

 

僕もお腹が空いていたので「ちょっとちょうだい」と声をかけてみたが「バカ野郎!俺の米だ!」と頑なに拒否。「電気泥棒がいます」と警察に通報したかったが、ツアーのスケジュールに穴を空けるわけにいかず思いとどまった。

 

オフの後は岡山CRAZYMAMA 2ndRoom、徳島JITTERBUG、高知CARAVAN SARY、愛媛サロンキティと回った。移動は車の空いている夜だったが瀬戸大橋の景色は壮大で、途中にある与島PAには100台近いフェラーリが夜な夜な集会を開いていた。

 

高知CARAVAN SARYのすぐ裏にある公園は寝泊まりするのに最高で居心地が良かった。また高知城の近くで発見した「ひろめ市場」という風情ある食堂街ではカツオの刺身600円をバンド金庫から払いメンバーで分け、はじめて旅行気分を味わった。

 

高知でのライブはたまじさんの髪型セットにかける時間が異様に長いので、僕はライブハウス内に必ずいるであろうたまじさん好みの可愛い女の子を探した。結果、対バンの社会人バンドでベースを弾いていたハーフ美女のサエがお目当てだった。

 

ライブになるとたまじさんは自分で作詞・作曲したラブソングをその子に向けて歌いはじめ、僕を不安にさせた。僕はその後ろでドラムを叩きながら「俺は一緒じゃないからな」というすまし顔でバックバンドを演じてみてせた。

 

ライブを終えて愛媛に向かうために荷物を積んでいると、離れたところからサエが潤んだ目でたまじさんを見ていた。こんな美女がたったアレだけで落ちるということに世界の広さを実感した。

 

マッカスの運転で愛媛に向かって出発。僕は助手席に、たまじさんは後部座席でタオルをかぶってすぐに寝はじめた。小一時間後バンドのHPをチェックすると「素直になれた」「空を見ればつながっている」といった内容のたまじポエムの更新が発覚。僕は自分のブログにバンドマンと付き合ってはいけない理由についてしんしんと綴った。

 

愛媛サロンキティを終えたら次は福岡CB。車のナビにライブハウスの住所を入れたら400kmほどあり愕然とした。愛媛県は八幡浜に港に車を止めて夜明けを待ち大分県佐賀関へフェリーで移動。そこから大分自動車道をひた走り福岡へ辿りついた。

 

福岡はありがたいことにお客さんの入りも良くライブ後、僕らの物販コーナーに行列ができた。CDにはメンバー全員でサインを書き、握手をしてお礼を言いながらさばいていると、えみりと名乗る若い女性が列の最後尾に並び「あんたら今日どこ泊っとうと?」と話しかけてきた。

 

僕は「大濠公園ですが何か?」と答えた僕は50%の確率で「今日うち来たら?」が来ると予想していたが案の定、えみりは「それなら今日、うち泊まったら?午前2時に天神のドンキホーテ前で待っとって!迎えにいくけん。」と話した。ツアー先での予期せぬ出会いは醍醐味の一つ。僕らは素直に甘えることにした。

 

集合時間が深夜2時と遅いのは、えみりが天神の風俗嬢だったからだ。その時間に仕事が終わるのだという。約束通りの深夜2時。言われた通り天神のドンキホーテ前に車を停めて待っていると、仕事を終えたえみりがやってきた。

 

えみりは笑顔でこちらに小走りで駆け寄ると「じゃあ買い物して帰ろ!」とドンキホーテに入り、僕ら4人分のマットレスやタオルケット、弁当やつまみお酒を値段も見ず大量にカゴへ放り込んだ。

 

「タバコはある?」と聞かれて「ある」と答えたが、彼女は僕ら4人が吸っているタバコをそれぞれカートン買い。「これでしばらく持つでしょ」と彼女はどこか満たされたような顔をつきで40000円を超える会計をサッと済ませた。

 

金額が金額だけに「ありがとう」と「申し訳ない」どちらを先に伝えたら良いのか迷っていると、えみりは「タクシー、家までお願い!」と荷物を僕らに預けて機材車に乗り込んだ。向かった先は地下鉄天神駅からほど近い海沿いのタワーマンションだ。

 

えみりは部屋に僕らを案内するとテーブルに食料をドサッと並べ「お弁当は一人2個以上食べてね♪」とまるでペットに餌を与えるようにふざけて見せた。僕らはそれぞれ2つの弁当をペロリと食べ終え、お酒を飲みながらえみりと話した。

 

天神のヘルスで働き始めたのは彼氏が作った借金を肩代わりしたため。本名は智子という名前でえみりという名は「ちゃんと化粧すると辺見えみりに見えないこともない」という店長の主観からついた源氏名だった。それでもえみりはその名を気に入っているそうだ。

 

借金返済後に結婚の約束をしている彼氏がえみりが住むことの家に訪れるのは月1度のみ。最近は泊まることもなく返済分のお金を受け取ったらすぐに帰ってしまうとのことだった。テレビボードの上に飾ってある赤ん坊の写真は4年前に離婚をした際、会えなくなってしまった息子。1年ほど前に街で元旦那と子どもを偶然見かけたときには、一緒に居た女性に「ママ〜」となついていたらしい。

 

「私、バカだよね」と少しふざけたような顔つきでえみりは身の上話を明るく語った。僕はえみりが気負ってしまうことのないよう、時折視線を外しながら真剣に話を聞いた。もう少しえみりと話をしたかったので缶ビールを1本空けようとするとマッカスはそれをさえぎるように「チャッピー、明日10時からラジオだから。もう寝よう」と言う。マッカスなりにえみりを気遣ったのだと思い、感心しつつ僕らは床についた。

 

翌日天神にあるソラリアプラザ1Fで生放送ラジオに出演した。MCの人から振られる話題にたまじさんが答えて進行していたので、僕ら3人は頷きながら座っているだけだった。ソラリアプラザはファッションビルで多くの人が行き交い公開ラジオということで立ち止まって観てくれる人もいた。

 

僕らの名前など知らないはずなのに芸能人と勘違いして手を振ってくる人たちの様子が滑稽で、僕は「お前ら、いつもありがとうな」のような顔をして手を振り返す遊びを一人で楽しんでいた。そんなことを何回か繰り返しているうちに観覧者の中にエミリを見つけた。エミリはブースの中を見てニヤニヤと笑っていた。

 

僕らはラジオを終えると「今日は早番でライブにはいけないから。お別れの挨拶をしようと思って」と話しかけにきてくれた。僕らは一宿一飯のお礼を伝えると彼女は「こっちこそいきなり誘ったのに来てくれてありがとう、あなた達を見てたら私も自由になれたような気がして楽しかった。全然そんなことないんだけどね」と笑った。

 

えみりが僕らと握手を終えると目の前の大きな通りの信号は青に変わり、彼女は交差点を渡り色街へと向かった。

 

※0.5割フィクションです

 

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