6月18日 22:50
鶴見の自宅にて
映画が好きだ。正確にいえば好きだった。バンドマン時代は慢性的な金欠病だったので余暇は100円の旧作レンタルDVDと古本でやり繰り。小銭があればチケットの安くなるレイトショーを観に一人ふらりと映画館に立ち寄ることもあった。
メジャー映画の最たる長所は手軽に強めの刺激を得られるところだと思う。良質なヒューマンドラマやドキュメンタリーは上手い具合に心を揺さぶってくれるし、ファンタジーやSFはここではないどこか別の世界に連れて行ってくれる。
完全受け身の姿勢で居ながら、これほどまでの刺激を安価かつ手軽に得られる遊びを僕は知らない。一方、受け身だからこそのデメリットもある。それは観た映画が意に沿わなかった時だ。楽しませてもらおうと期待した分、落胆は大きい。
僕はこの落胆がどうしても性に合わない。だからなのか、いつしか僕が映画に心を傾けることはなくなっていた。
そんな折、暇を持て余した僕が興味本意でたまたま入ったのが横浜シネマ・ジャック&ベティーだ。これまでミニシアターというのは映画に詳しく知的で感性豊かな人が行くところだと思っていたので、僕のような凡人には縁遠いところだと思っていた。
はじめて観たのはたしかホラー映画だった。「ふむふむ、なるほど、ほうほう、へえへえ、ん?終わり?」サッパリ意味がわからなかった。つまらないではなく、意味がわからなかったのだ。その後帰って、その映画のレビューをネットでメチャクチャ調べた。
すると「今年見た映画で1番でした!」「眠れなくなるほど怖かった」的なレビューがたくさん。衝撃を受けた。これまで「さあ楽しませてくれ」と受け身でしか映画を観たことがなかった僕の情弱っぷりが露呈されたのだ。
それから何度か足を運ぶうちに作品のメッセージ、作り手のエゴ、役者の一挙手一投足など、自分なりに作品を解釈していく楽しさを知った。その末、深く共感できるものあれば、そうでないものもある。
しかし、ミニシアター作品は解釈していくこと自体が楽しいので、趣向に関係なく映画に満足できるというのが良いところだ。
当然ハマれば嬉しいがそうでなくても十分に楽しめる。また、インディーズ音楽のように大衆化されていないので、作者の世界観や意図を近くに感じられるというのもミニシアター作品の長所の一つだろう。
そしてジャック&ベティーがある街、横浜・黄金町の雰囲気も最高だ。黄金町はもともと有名な風俗街でかなりアングラな街。横浜開国博に伴う市のイメージアップ作戦によりその街並みは一掃されたが、今でも当時の雰囲気は少しだけ残っている。
ちなみにジャック&ベティーは元々別会社が運営していたそうだが、今のオーナーさんが黄金町とジャック&ベティーに魅せられ運営元から経営を引き継ぎ現在に至っている様子。そして今のオーナーさんは元バンドマン。街や施設の背景も引っくるめて最高なのがジャック&ベティーだ。
そんなジャック&ベティーの好き嫌いを旅行で例えれば、高級ホテルに泊まって一流シェフのディナーを楽しみたいという人よりも、旅先の地元スーパーで地産食材を食べ道の駅で車中泊したいという人に好まれそう。といったところだろうか。
「ミニシアター行ったことないわ…」という人は一度足を運んでみると面白いと思う。ジャック&ベティーも僕みたいなライトな層にそのカルチャーを伝えたいと思っているのではないだろうか。
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最後にジャック&ベティーで観た映画の中で勝手に表彰したいくらい素晴らしい映画があったのでそれを紹介して終わろうと思う。まずはこちらをご覧いただきたい↓
この作品、かなりポップな触れ込みになっているが内容はかな〜り深い。舞台に立つミュージシャンの心情や苦悩、華やかな舞台とは裏腹のストイックな生活が現役時代に天才ピアニストと謳われたシーモア先生の口からリアルに語られている。
そして、悲しい過去がありながらも57年間同じアパートに住み続け、舞台恐怖症の生徒や現役プロを今なお教え続けるシーモア先生の生き様と哲学。ラストシーンは観る人の心を鷲掴みにするんじゃないだろうか。特に音楽やっている人には突き刺さるどころか貫通して清々しいくらいだろう。
ちなみに僕の感動具合はこんな感じだ↓
僕の場合この映画が奥深すぎて言葉では処理できなかったので、DVDを予約して僕よりこの映画がブッ刺さるであろう尊敬するミュージシャン3名にプレゼントした。先日、うち1名から「これはヤバイ、泣いた」的なメッセージが届いて嬉しかった。興味がある人は観てみてほしい。
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最近ホント趣味系の話しか書いてないから、そろそろ仕事とかお金関係の話でも書こうかな。来週あたり試しに仕事編を1本書いてみようかどうしようか。
そのほかにも「夢破れたバンドマン時代の話」「起業して失敗した話」「伝説の彼女の話」 etc…人が読んで面白いかどうかわからないけど、オチつけられるネタは腐るほどあるので何を書こうか悩む。が、それが楽しかったりする。
今日も最後まで読んでくれた人、ありがとうございました!
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